なのメイド、なの! Episode8〜ヴィータちゃん今日もがんばる、なの〜

「あーくそ、眠いなー。」
目をこすりながらあたしは食堂までの道を歩く。今はなのはの仕事を受け継ぐと言う形で出勤している。あいつにどうしてこんな権限があるのかと仕事中小一時間考えてしまったおかげで仕事がちょっと残ってしまったが、午後がんばれば終わるだろうな、と思いながら早足で歩いた。昨日の言い合いのせいで朝ごはんをろくに食べずに出てきたもんだから、さっきからおなかがぺこぺこだ。
食堂まで後ちょっとって言うときに、人垣にぶつかってしまった。いや、誰かを囲んで色々話を聞いてるっていうところだ。かわいいねー、どこの子?なんていう声も聞こえてくる。が、今はそんなんに構ってる暇はない。一刻も早く食堂でご飯にありつきたいんだ。
「おーい、悪いけどどいてくれねーか?」
ちょっと声を張り上げていうと、あ、ヴィータ副隊長こんちわーとか、今日もみつあみにあってますよーとかいう声が聞こえたから、おう、ありがとなーって返して通り過ぎようとしたら、急によく知った声がしたんだ。
「あ、ヴィータちゃんだー。」
…待て、この声って…
「ヴィ、ヴィヴィオ?お前なんでこんなとこにいるんだよ?!」
ヴィヴィオ。今はなのはが保護者でフェイトがその後見人を務めてる。機動六課に関することがひと段落したら養子にするってなのはが言ってた。
「あのねー、フェイトママのお仕事見に行こうと思ったの。」
「そうなのか。あれ?アイナさんは?」
「アイナさんが男の人と話し始めたからヴィヴィオ先に来たの。」
ふーん。ってテスタロッサの職場ってこっちじゃねーけどな…。腹減ってっけど、このままほっといたら後でなのはにも何かいわれそうだしな…。しゃーねぇ。
「じゃああたしが案内してやるから、ちゃんとついて来いよ。」
「ほんと?ありがとー。」
えへへ、となのはそっくりの笑顔を見せるんだもんなこいつ。そーいえば、なのはって今どうしてんだろうな…?朝ばたばたしてたから、そこんとこも聞かずに出てきちまった。
そんなことを考えながらあたしはヴィヴィオテスタロッサの執務室に連れて行った。



「ごめんなさいねヴィータさん。私が目を放したばっかりに。」
「いいって別に。今はテスタロッサのとこにいるから、迎えにいってやってよ。」
「そうですね。ありがとうございました。」
そういうとアイナさんは執務室の方へかけていった。ヴィヴィオを送り届けた帰りにうまく会うことが出来たから事情を説明し終わったとこだ。やっと飯が食える。もうお腹ぺこぺこだ。
食堂に入って一緒に食えそうな人を探す。やっぱり食事は一人で食うと寂しいしな。そう思いながら探すと、スバル達が飯を食っているところだった。ちょうどいいから混ぜてもらうかと思い、やつらのところに行った。
「おう、調子どうだ?」
「うわっ…ってヴィータ副隊長!」
「うわってなんだよ。」
「あ、ヴィータ副隊長、ちょっと聞きたいことが…」
「あ、なんだティアナ?」
そこで気づいたが、スバルにしろティアナにしろキャロにしろエリオにしろ、神妙な顔を浮かべていた。うーん、今日なんかあったか…?
そんな考えは、ティアナの声で吹き飛んだ。
「えーっと、その…あ、あれなんですけど…」
「あれ?っと、あたしじゃここからはみえねぇな…いす、借りていいか?」
「あ、はい。」
そういってキャロが余ったいすを貸してくれる。それに膝立ちになってみた。
「で、どれ?」
「あ、あれです。」
ティアナの指した先を見ると、そこには相変わらずのメイド服姿のなのはが、物憂げな様子で席についていた。