なのメイド、なの! Episode5〜不思議な夕食、なの!〜

………なんだって!?
「あれ、ヴィータちゃん?ヴィータちゃーん。」
とりあえず今の状況を整理しよう。あたしはなのはの膝の上で座っていて、目の前にはあたしの分の夕飯がある。それはいい。だけどあたしは何にも持ってなくて、なのはがあたしの箸を使ってご飯を食べさせようとしてる。なるほど。
「ってなるほどじゃねー!!!」
「え、えーっと、ヴィータちゃん?」
納得してどうするあたし!つかなんだよこの状況!くそっ、こいつは一言いってやんなきゃ気がすまねぇ。
「なにょはっ…!」
いてぇ。舌噛んだ…。
「言えてないよヴィータちゃん…。」
「しょ、しょんなことはどうでもいいんだよ!大体何やってんだよお前は!」
「えー、だって今日からヴィータちゃんの専属メイドさんなんだから、これくらい当然でしょ?」
そう自信満々に言い切るなのは。焦ってるあたしを尻目に余裕の笑顔だ。
「あ、あーもう!くそっ、こんなことならあの時負けておけばよかったっ!」
「うーん、それもいいかなぁ…。でも、私としてはヴィータちゃんにこうして仕えられるほうが嬉しいかな。」
…はっ?
一瞬、あたしの思考がまたフリーズした。
「だから、はい、あーん。」
…あーもう!デスクワークだけでも疲れるって言うのに、これ以上なのはに食って掛かってたら明日に疲れが残りそうだ。うん。ここはおとなしく従っとくか。け、決してなのはに食べさせてもらえるのがうれしいって言うわけじゃないからな!
「どう、おいしい?」
「ああ…」
「ほんとっ!?よかった。えへへ〜。」
ああもう、こいつはすぐ調子に乗るから…。
そんなことを考えてたからなのかもしれないけれど、夕食の味はいまいちわからなくて、なのはに「おいしい?」って聞かれるたびに、「ああ…」と気のない返事しか返せなかった。そしてその度によろこんでくれるなのはに、不思議なくらい安心していたのは何故なのか、あたしはさっぱりわからなかった。