なのメイド、なの! Episode2 〜ちょっと昔のおはなし、なの〜

話はつい先日になる。珍しく教導のことでなのはに聞きたいことがあったから、なのはの部屋に行った。教官室ではないのは、あいつが非番だったからだ。
部屋に入ると、なのはとフェイトがゲームをしているところだったらしい。ヴィヴィオは学校に言っていていないとの事だったが、珍しくフェイトと休みがあっているということにあたしは驚いていた。普段忙しい二人の休みが合うことなんてなかなかないのは、あたしも十分わかっていた。だからあたしはさっさと話を切り上げて去ろうと思っていたんだけど、なのはと(なのはに乗せられた)フェイトにせがまれて少しやっていくことにした。
ところが、すぐにフェイトに緊急の呼び出しが入ってしまい、仕事へ行ってしまった。ゲームを始めてすぐのことだったが、まだ仕事もあるしキリがいいと思ってあたしも仕事に行こうとしたんだ。
「むー、ヴィータちゃんまで置いて行っちゃうんだ〜。」
なんて、むくれて拗ねた声を出すなのはさえいなければ。
…そ、そのあれだ、決してなのはのおねだりに負けたんじゃねーぞ。ただちょっとなのはがかわいそうだったから付き合ってあげただけなんだからな。


なのはがあっちから持ってきたゲームなだけあって、あたしはなのはに負けっぱなしだった。段々それが悔しくって、なのはに「次はぜってーまけねぇ!!!」とか言ってた。それになのはは笑いながら、「うん、私も負けないよ!」って返してくれてた。
20分ぐらいたって、余りに戻りが遅いことを心配した局員からあたしに連絡が入った。さすがにこれ以上はまずいかな、となのはも感じたらしい。
「じゃあ、次ので最後にしよ?」
「ああ、そうだな。次こそはぜってー勝つ!」
「私も負けないよ!」
でも、あたしは正直、こんだけやってなのはに勝てねぇんだから、次も勝てねぇだろうなーって思ってた。勿論、勝負するからには勝ちに行くんだけどよ。
「…そうだ!ヴィータちゃん、何か賭けない?」
そんなあたしの思考を呼んだかのようになのはは言った。もうちょっと、なのは自身のことも考えてくれです…ってあたしはなに考えてんだ!!!
「何かって、なに賭けるんだよ?」
変なと考えたせいでちょっと顔が火照ってたから、ゲームの画面を見ながら返した。
「そうだね…勝ったほうが一週間メイドとして仕えるっていうのはどう?」
余りに突拍子のない答えに、あたしは空いた口もふさがらなかった。