dancing in the spring

「じゃあねー。」
「うん。また明日。」
友達と別れて、観鈴は家への帰路を急ぐ。その途中にふと目に留まる、一本の木。
「あっ…桜だ。うわぁー、きれい!」
満開になった桜の下で、大きな桜の木を見上げる。時々吹くそよ風で、花びらが静かに舞う。ずっと見ていたいな、と思うけれど、家では恐らく欠食居候が空腹で死にそうになっているだろう。そんな人をほっとけるほど、観鈴は冷酷でない。が、やはり桜を見ていたいな、と考えて、ふと思いつく。
「そっか、お花見行けばいいんだ。にははっ」
桜と同様の満開の笑みを浮かべて、観鈴は再び家へと駆け出していった。