それはきっと、雪のせい

ん、んーっ。あれ…なんだか窓が白い。
わ、わわっ、曇ってるよ。ごしごしっと。
「うわぁー。一面真っ白。雪だよ雪!」
窓を開けて外を見る。ひんやりとして、それでいて刺すような空気が入ってくるのもお構いなしに、その部屋の主、神尾観鈴はその、初めて見る白く輝く白銀の世界に目を輝かせていた。
「ゆっきゆっきー。」
いつもの服に着替えて(といっても冬服であるが)今日の朝食を作る。
「ゆっきゆっきー。たっのっしっいなー」
うん、今日もよく出来た。さて、往人さんを起こしに…あれ?そういえばいつもはこの時間に起きてくるのに…。
観鈴は食卓に上手く出来た朝食を並べながらふと考える。
えーっと、昨日はどうしたっけ。…そういえば昨日……
舞台は、昨日の居間に移る。
『なんか寒いなー。おい観鈴、明日雪みたいだぞ。』
『えっ?ほんと?往人さん』
『天気予報がそういってるんだ。』
『にははー。じゃあきっとあたりだね。』
皿洗いを終えて、往人の横に座る。
『ってあの納屋の寒さ半端じゃねぇしな。俺明日凍死してるんじゃないか?』
『往人さん、ぴんち?』
ぽかっ
『うーっ。』
『ぴんちもくそもあるかっ!』
『い、痛い。でも、往人さん死んじゃったら困るから、もう一枚出してあげる。』
『おおっ、観鈴は優しいなぁ。』
以上、過去回想終わり。
って言うところまでは覚えてるんだけど…えーっとその後確か、往人さんにもたれかかって一緒にテレビ見てたら眠くなっちゃって…それで今日の朝私ベッドにいたから…わわっ!私何もされてないよね?!
いきなり慌てふためいて体をチェックしだす。が、幸いにもなんともなかったらしい。ほっと、ため息をついた。だが、すぐに深刻な顔−しかしながら到底傍目からでは見えないのだが−で、最終的な事態の確認を口にした。
「つまり、往人さんの毛布を出さずに寝ちゃった…ってこと?」
乾いた笑いを浮かべて、そしてすぐに泣きそうな顔で走りだした。
観鈴ちん、大ぴんちだよー!!!」