紅につつまれて

いきなり何を聞くかと思えば、それかよ。という気持ちになったが、ここでこの質問を無視すると、後のシスコン医師が非常に怖い。
「そういう佳乃は何を願ったんだ?」
というと、なぜか顔を赤くさせる佳乃。
「そ、そういうこと言う人嫌いです。」
「それゲーム違うだろ。」
そして、うー、と長い間うなってから、ようやく口を開いた。
「往人くんの朴念仁!」
というやいなや、駆け出していってしまった。
「なんだ、あいつ。」
…っておそらく帰ったらメスですか…。ああ、俺の人生、悪運も尽きたかな。
「にはは…。往人さんだからね。」
「…確かに。」
と、観鈴美凪には思いっきり納得されてしまった。っつーか、朴念仁ってなにさ。
「まったく、そういうお前らは何を願ったんだよ。」
文句交じりに聞いてみたが、どっちもなぜか顔を朱に染めている。聞いてはいけない系の質問だったのか?
「えーえっーと…に、にははっ。」
「………ぽっ。」
照れ隠しに、笑うやつと手に頬を当てるやつ。何が照れるんだ何が。
だが、次に美凪から出た言葉は、往人にとって意外な台詞であった。
「…では私はこの辺で。」
「はっ?!」
「…観鈴さん、ふぁいとっ、です。」
「えっ?!あ、う、うん!」
といって残りも少なくなってきた鳥居を、駆け抜けていった。
「…なんなんだ、あいつ。」
「きっと、私達のことに、気を使ってくれたんじゃないかな?」
「…そ、そうか。」
そんなこと言われると、つい意識しちまうな…。
「それで、往人さんは何をお願いしたの?」
歩みを止めて、くるっと、スカートをたなびかせて観鈴は往人へと振り向く。
「俺?俺は…」

タイトルは、『青空』(Air)から。この曲、聞くと結構痛いんで、あまり聞かないですが(笑)。