紅につつまれて

佳乃の呼ばれていった先には、小さな鳥居が何列にも連なっていた。おそらく、この先に祠か何かがあるのだろう。
「こんなとこあるなんてびっくりだよぉ。」
「どこに続いてるんだろう?」
「……どうも終わりが見えませんね。」
と、三人の少女が言う。まぁ、ここで何を言っていても始まらないだろう。
「ほら、行くぞ。」
「わ、わわっ!往人さん(くん)待ってよー」
俺が先へ行くと、三人があわててついて来た。

しかし、壮観というか、紅葉が引き立ててる感が否めないが、なんとも静かなところである。
「…誰もいないみたいですね。」
「ああ、そうみたいだな。」
さっきから人っ子一人見当たらない。ここに祭られているのは、何か忌み嫌われるもの、悪霊なのだろうか。
「むーっ、まだ見えないよぉ。」
「ものすごく長いね。時間とか大丈夫なのかな。」
「…時間は大丈夫です。」
しかし、終わりは突如現れる。そこには、小さな祠があった。
「狐…稲荷か?」
「…そうみたいですね。」
「うーん、周りには何もないみたいだよ。」
「じゃあおまいりして帰ろう。」
という佳乃の提案の元、みんなで手を合わせた。そして、一礼して、もと来た道へと引き返した。その帰り道、鳥居を半分ほど行った所だろうか、
「往人くんは何を願ったのかなぁ?」
そんなことを佳乃は聞いてきた。