紅に包まれて

無言の追求+保護者の攻撃をなんとかしのぎ切った。そして、紅葉葉が舞い散る木下、みんなで昼飯を食うことにした。
それぞれの家の料理が並ぶ。まぁ、観鈴、聖、美凪+母で作ったものだろう。
「わわっ、どれもおいしそうだよぉ。」
なんて、佳乃が言うのも無理はない。
「みなぎー、ハンバーグは?」
「…大丈夫。」
こちらいつもの会話。ってぼやぼやしてると、みちるに全部食われちまうな。
観鈴ー、つまみもいれとけ言うたやないか。」
「お、お母さん…」
もう酒を飲みながら言うな。
そう、なんだかんだ言いながら、食事は進む。みちると往人の取り合いがあったり、美凪の「あーん」攻撃があって、それに対抗意識を燃やしまくる二人に、攻撃意識を燃やしまくる一人が、往人に仕掛けたりした。
「…俺は飯すらゆっくり食えんのか。」
「それは業というものだと思うぞ。」
くっ、聖め。
「そやそやー。こんなべっぴんさん達に囲まれてありがたいとおもわなあかんでー。」
「というか晴子、お前酔いすぎ。」
「なにをいうとんのや。こんなんまだまだや。」
それが言える時点でばっちり酔っているに違いない。隣の聖に視線で同意を求めると、頷いてくれた。ふむ、どうやら俺は正しいらしい。
「往人くーん!こっちで遊ぼうよー!」
「お、国崎くん、佳乃が呼んでいるぞ。」
気づいたら、女の子四人、どこかへ行こうとしていた。
「食ったばっかでねむ…いえ、行かせていただきます、聖様」
「そうか。気をつけてな。ああ、そうそう…」
その台詞も聞き飽きたので、俺は一目散に彼女らの元へ向かった。

「おい、みちるがいないな。」
ふと気づくと、みちるがいなかった。
「…あそこで寝てます。」
美凪が指差す。その方向を振り返ってみると、ビニールシートの上で、美凪の母のひざを枕にして、みちるが寝ていた。
「じゃあ往人くんをかのりん探検隊4号さんに認定だよぉ。しゅっぱーつ!」
「わ、わわっ。佳乃ちゃん待ってよー」
なぜか佳乃を先頭に、俺らは森の奥へと進んでいくことになった。