紅につつまれて

というわけで、紅葉を見に来ている。前のほうで女の子四人、…それぞれ、遠野美凪・みちる、霧島佳乃神尾観鈴、といった四人だ。
「ふむ、神尾さんももう問題ないようだな。」
「ああ、すっかり溶け込んじまってる。」
と、俺と昔話をほじくり返しているのが、霧島聖。佳乃の姉である。
「あー、なんかこうして見とるとホント変わったなぁ、観鈴。」
と、目をすぼめて前を見ているのが神尾晴子観鈴の義理の母である。
美凪もなんだか明るくなったような気がしますし。」
と、この中で一番大人っぽい喋りをするのが遠野美凪、みちるのお母さんだ。…実は名前知らない。
「ところで国崎君、君も混じってきたらどうだね?」
「こんな重い荷物背負って混じれるか…いや、メスはやめてください。」
「しょーがないわ。男はあんた一人やさかい。」
「あら、頼りにされてますのね。」
きっと、日頃の世話されてるののお返しだと思うのだが、口に出すと命も危ういので金輪際黙っておく。
「往人さーん!早く早く!」
「往人くーん!」
「こらー国崎往人ー!美凪をいじめるなー!」
ちょっとまて、前の二人はとにかく、まだ美凪は何も言ってないしっていうか何もしてねぇぞ俺。
ということでみちるに近づいて行って、グーで一発。
「にょわっ!」
「おっと、蹴り返すなよ。弁当とかが無駄になるからな。」
「次会ったときに倍返ししてやるー!」
「……やっぱり二人は仲良し。」
「そこ違う。」
さすが美凪、テンポのズレは一級品だ。しかし、何ヶ月も付き合ってればわかるぞ。
「……ぽっ」
「往人さん、今のはどういう意味かなぁ?」
「往人くん、説明してくれるよね?」
…ああ、神よ。どうして今だけ心の言葉が今は出てるんでしょうか?
後ろに控えているであろうと思われる。二人の鬼神を見ることも出来ず、ただ歩を進めるだけの往人であった。
最も、晴子と聖の攻撃が速攻で襲ってきたことは、言うまでもない。