紅につつまれて

そういえば、こんなことは初めてなんじゃないかと思う。まぁ、実際、こいつらと一緒−つまり家族という状況に置かれること−って言うこと自体、何年ぶりなんだおいって感じがする。
まぁ、そんなことはなかった…だろう。母と旅をしていたのだし。
「おい、置いていくぞ。」
「いや、ちょっと考え事を、な。」
「ほう、君でも考え事をするのか。」
ずいぶんなめられているような気がする。
「しかし見事なものだ。ここまでとは思わなかった。」
「そやなー。うわさにはきいとったけど、見てみると大違いや。」
と語るアダルツ。時に、子供達は先行してはしゃいでいる。
そう、何を隠そう、我ら遠野家+霧島家+神尾家+居候は紅葉観賞に来ているのだ。