resign myself to the "Virtual Reality"(5)

そっと、ケイタイを充電器にセットする。それから、しばらく記憶が飛ぶ。
時計を見て気づいた。0時半。彼と電話していたのが一時間。
つまり、私はケイタイを見たまま、三十分間ずっと立ちすくんでいた。…疲れてる、きっと。
二度三度、頭を振って私は着替えなどを持ってお風呂場に向かった。シャワーで流せば、少しはさっぱりするだろうと思って。
お風呂に入って、ついため息じみたものが出てしまう。水を掬い上げては、こぼしてみる。
頭の中で彼の言葉を、ゆっくりと反芻する。
ちょっとだけ、会えないか…かぁ。
言いよどんだ“No”“Yes”
はっきりと言えない。
体を思いっきり湯船の中に沈めてみる。どこまでも、思考は空回りし続けた。
お風呂から出ると、ランプがちかちか点滅していた。きっとメール。
開けると、彼からのメールだった。『大丈夫?体調管理しっかりしろよ!』と書かれていた。
風邪も引いてないのに。まったく。
口元がちょっと緩んだ。

『そっちこそ、風邪で寝込んで来れないとか言わないよね?(笑)』